ヨエルの預言（２）

皆様がこの世に生まれてから今日まで、何十年間の間経験してきた感覚というのは、すべて肉の肉です。肉の肉という感覚から去って、宇宙の指導霊である聖霊によってこの地球を見てください。地球はただの影であること、幻であることがはっきり分かるのです。

聖霊によってこの地球を見ると言う事はどうすることか。人間の心というものは、霊の器のようなものです。地球という場は実に不思議な場であって、宇宙の霊が錯綜した形で働いているのです。ヨハネの第一の手紙に、すべての霊を信じるなとあります。霊には色々なものがあるのです。

大ざっぱに言いましても、人の霊がありますし、神の霊があるのです。人の霊というジャンルの中にも色々な悪霊と言えるようなものがあるのです。悪鬼みたいなものもありますし、魔鬼もあります。悪魔もいます。魔鬼も、悪魔も二通り三通りのものとは違うのです。色々ありまして、人間に色々な思いを起こさせるのです。

仏教ではそれを分解して六道輪廻と言っています。地獄、餓鬼、畜生が三悪道です。修羅、人間、天上を三善道と言います。悪道が三つ、善道が三つで、肉の人間がさまよい歩く六道の辻です。この分け方でも大ざっぱです。地獄でも、一通りや二通りのものではありません。無限地獄とか、火の池地獄とか、色々あるのです。餓鬼、畜生と言っても、色々あるのです。

これは皆霊です。皆様が良く知っていなければならないことは、世界には世界の霊があるのです。アメリカにはアメリカの霊があるのです。日本には日本の霊があります。ロシアにはロシアの霊があるのです。民族とか風俗とかというものは、霊に従って構成されているのです。

日本にも天津神と国津神とがあります。天津神の流れから天皇家が出ているのです。国津神というのは日本の国土に土着していた豪族の霊です。寺社にも天津神を祭った所と、国津神を祭った所とがあるのです。

こういう霊を弁えていないと、真理を説くことはできません。真理の御霊であるかないかをどうして見分けるかと言いますと、キリスト教の教義は宗教の霊です。仏教の教義は仏教の霊です。拝火教の霊もありますし、回教の霊もあるのです。回教と言いましても、エジプトの回教と、モロッコの回教とでは違いますし、パキスタンの回教と、インドネシアの回教とは違うのです。これは皆霊が違うのです。

伝道というのは一口に言いますと、霊を押さえていく仕事です。人間の魂は何かの霊につかまえられているのです。必ずつかまえられているのです。それから解放してあげる必要があるのです。

皆様もそうです。現在何かの霊につかまえられているから、本当に御霊に満たされることができないのです。例えばセックスの霊に取りつかれている人がいるのです。商売の霊に取りつかれている人もいますし、社長の霊、宗教の霊に取りつかれている人もいるのです。自分自身の霊を自分で分解できるような人間になれば、他人の霊が見えてくるのです。そうしたら、他人が今取りつかれている霊から解放してあげることもできるのです。霊から解き放して自由にしてあげるのです。これが本当の魂の救いです。

本当の真理の御霊はBe動詞がきちっと説明できるものでなければならないのです。これが真理の御霊です。Be動詞が説明できなければだめです。説明できない霊は皆インチキです。学問は学問という霊です。自然科学も霊です。学問の中に法律の霊とか、経済の霊とか、政治の霊があるのです。政治家は政治の霊につかまえられているのです。

人間の魂は無色透明であって、何かの霊に皆取りつかれているのです。トヨタ自動車の社員はトヨタの霊に取りつかれているのです。カネボウという会社にはカネボウの霊があるのです。ニッサン自動車にはニッサンの霊があるのです。人間が集まって何かをすると霊がわいてくるのです。

私たちは人々からあらゆる霊を皆解放してあげて、「であること」が「があること」として現われていることを教えてあげなければいけないのです。これがBe動詞の説明です。「であること」が、「があること」として現われている。これが大原則です。大原則を喝破できるものだけが真理の御霊でありまして、この真理の御霊によってこの世界を見ますと、全く幻であることが分かるのです。

物は存在するのではない。物理が存在するのだということです。物は流動的に存在している。物質、物体は弁証法的に存在しているのです。これは概念としてはすぐに分かるのですが、弁証法的に存在しているというその事訳が問題です。弁証法的に存在するというのは、新陳代謝の法則に従って存在することを意味するのです。流れ動く形態だけはそれで説明できます。流動する状態は、新陳代謝という言い方で説明できるのです。

ところが、物体が物体として存在すること、例えば一個のリンゴの実が物体として存在することは、リンゴの実として構成されているのです。どうしてリンゴの実になるのか。物理というのと、リンゴの実とは違うのです。物理的な法則が、そのままリンゴの実になっているのかというと、そうではないのです。リンゴには物理的な意味での働きもありますが、そうでない面があるのです。物理的な働きではないものがあるのです。

例えば熟したおいしそうなリンゴがあるとします。それを見ると、物理以外のものを感じます。おいしそうだと感じます。また香りを感じます。美しいとか、絵になる格好があります。これは物理ではないのです。おいしそうだということ、色とか味とか香りは、物理ではないのです。もう一つのあるものです。これは何か。この説明が科学ではできないのです。

物質は流動的に存在すると学者は言います。しかし、流動的に存在しないものがあるのです。これは流動的に存在するものと関係はありますが、物理的法則に属さない心理的法則に属するものがあるのです。おいしそうだとか、よい匂いとか、美しいとかいうものです。これは心理的法則に関するものです。

一個のリンゴの中に、物理的法則の面と、心理的法則の面とが同居しているのです。人間は心理的法則の面を直感するのです。人間の心の働きというものは、すべての事々物々を繊細に弁別したり、分析したり、解析総合を無意識にしているのです。こういう状態を霊というのです。

そこで大自然をどう見たらいいかです。大自然は物ではないのです。一個のリンゴは物でもあるが、物ばかりではないのです。物質はすべて物的な面と、心理的、精神的な面とか同居しているのです。鉄でも重そうだとか、冷たそうなという人格的な面もあるのです。リンゴが持っているようなパーソナリティー的な面があるのです。精神的なものがあるのです。

こういうことが見分けられるようになりますと、人間生活における自己批判とか、他人を批判、アドバイスをするにしても、やりかたがぐんと深くなるのです。そういう深みを身につけて頂きたいのです。

一個のリンゴには科学的な、精神的な要素が集まって構成されているのです。リンゴの実は構成物質です。一本のダイコンでも、一本の人参でも、色々な要素が集まって構成されているのです。物理というのは一つの世界です。味というのも一つの世界です。色も香りも形も、一つの世界です。世界が一つひとつあるのです。これがもろもろの世界です。もろもろの世界は神のことばによって組み立てられているのです（ヘブル人への手紙11・３）。物質は色々な世界が集まって構成されているのです。

物理がそのまま物体になるのではなくて、物質または物体は、組み立てられたものです。物理がそのまま物質物体になるのではありません。神の言葉がもろもろの世界を総合的にアレンジして、組み立てているのです。この働きがなければ物質、物体は存在してないのです。こういう存在の原理をよく承知しておく必要があるのです。

こういうことが説明できるのは、真理の御霊のおかげです。リンゴ「である」ことの説明ができるのです。「である」ことが、「があること」としてあるのです。これがisということです。

神の言葉によって、もろもろの世界が総合的に組み立てられているのです。これが神の御名です。神の言葉によって組み立てられているというその事がらが、神の御名です。エホバの御名です。これが「ありてある」ものです。

神の御名とロゴスの働きと御霊の働きによって物事が成立しています。ロゴスと御霊の働きの活動によって、神の御名が構成されていると考えてもいいのです。父の御心と、ロゴスの法則と、御霊のエネルギーがあります。原理、原則、原動力の三つのものが組み合わされて、物理と物体が構成されているのです。

物があるのではない。神の御名があるのです。ロゴスの働きがあるのです。存在の原理から考えるとそうなります。私たちはロゴスの働きを見ているのです。神の御名を見ているのです。これが幻を見ていることの論理的な原則になるのです。

物が存在するということは、時間と空間との相乗作用です。物と物との相互作用でもあるのです。無生物と生物との相関関係でもあるのです。

一番重要な役割を演じているのが、言葉です。言葉がなかったら、もろもろの世界が組み立てられないのです。すべてのものは言葉によって造られたとヨハネが言っています。神は物理という天使を用いましたが、物理によって物ができていると思ったら大間違いです。物質や物体は構成されたものです。もろもろの世界が組み合わされなければ、物質になりません。物理だけでは物にはなりません。

物理を物に変化させているのは、ロゴスの働きです。水素と酸素と窒素の三つがあっても、空気にはなりません。空気の構成要素を巧みにアレンジして、うまく化合させて空気にしていくのは、ロゴスの働きです。ロゴスがなければ物はできないのです。自然科学の霊でいくら考えても、分からないのです。

宇宙存在は物の世界ではないのです。物語の世界です。地球存在というものは、物語の世界です。言葉によって造られているということは、物語られているということです。

リンゴの実が言葉によって形造られているということは、リンゴの実が物語られているということです。夕焼け空を見ていても、物語られているのです。地球が自転公転している姿は、物語られているのです。私たちは、物語の世界に、物語の人生として生きているのです。

宇宙はどこまでもロマンです。大ロマンです。科学という小さいものとは違うのです。現代の学問、セオリーは悪霊です。セオリーの霊です。学会は極めて次元の低い感覚の霊です。

私たちはエホバの議会に連なる者として、真理の御霊によって見ることができる人になって頂きたいのです。生活でこれができる紳士淑女になって頂きたいのです。

神は天使によって物語ってはいますけれど、天使だけで物ができているのではない。天使を用いて語っているのです。松の木は神の言葉が語られた、形としてあるのです。私たち人間もそうです。個人個人は語られた結果としているのです。これがパーソナリティーです。私たちが生まれた後に経験したことがあります。これはキャラクターです。皆様が普通に生活しているのは、キャラクターでしているのです。これが肉の思いです。

ところが、生かされているという原点は何かというと、これがパーソナリティです。生かされているという原点と、生きているという形は違うのです。ここに人生の矛盾があるのです。

万物は天使によって原則的なものは成立しているのですが、物質になり、物体になることになりますと、これは神の言葉によらなければならないのです。そこで、神が天使によって語りたもうということが言えるのです。これが現在の現象世界です。

現象世界というのは本質的に幻です。このことは旧約時代に分からなかったのです。今は聖霊が降臨されているので、論理的に理解できるようになっているのです。真理の御霊の降臨によって、私たち自身のマインドの表象が、御霊によるイメージによって組み立て直されたのです。この驚くべき精神的な変革は、聖霊降臨という事実によるのです。

私の霊をすべての肉に注ぎ出すとあるとおりです。この結果、幻を見るようになった。従って私たちは物を見ているのではない。物によって語られている状態を見ているのです。語られている神の言葉を見ているのです。言葉を見ているのです。これが観世音です。私たちは観世音的な角度で見ているのです。

天地万物は創造されたのです。創造されたという言葉を注意深く考えて頂きたい。無から有が生まれてきたのです。これはハプニングです。現在世界がこのように存在するということは、アブノーマルな状態です。現象世界が存在すること自体が、ハプニングであってアブノーマルなのです。これをノーマルだと考える頭がおかしいのです。

現象世界が当たり前だと考える。これが肉の思いです。現象世界がアブノーマルな、ハプニングですから、やがて消えるのです。造られたものなら消えるに決まっているのです。現われたものは消えるに決まっているのです。

創造という言葉自体が、アブノーマルを意味するのです。創造される以前には、永遠の性質が宇宙にあった。ところが創造が始まってから、宇宙に矛盾、混乱が起きたのです。矛盾が起きたから創造が始まったのです。

とにかく現在、現象世界というありうべからざるものがあるのです。森羅万象というありうべからざるものがあるのです。やがてこれは消えるでしょう。宇宙は元の性質に帰るのです。元の性質に帰ると言っても、これは地球だけのことであって、地球以外の宇宙には、別の現象が起こりうると考えられるのです。

地球の完成は地球だけで終わらないでしょう。神の栄光は大いなる形で、時間的にも空間的にも、永遠的に働くであろうと思われるのです。今現在私たちが考えなければならないことは、幻を見ていく必要があるということです。これを目の前で、実感的に見るのです。現象世界が幻であることを、実感的に見るのです。この程度の実感がなければ、だめです。毎日、自分の心を訓練するのです。幻を見る訓練をするのです。そうすれば気持ちが変化していくのです。

その次に老人たちは夢を見るとあります。英文では、And your old men shall dream dreams. となっています。これは何を意味するのかということです。現世が幻であること、現象世界が幻であるということになりますと、幻ではないものは一体何であるのかということです。

現世が幻であることは分かりますが、幻ではないものは何であろうか。現世が幻、影であると言うだけでは、色即是空であると言っただけになるのです。空でないものは何なのか。この解答がなければならないのです。

般若心経はその解答を全然出していません。般若心経は究竟涅槃を言っているのですから、解答を出す責任がないのかもしれません。しかし聖書はそうではないのです。

現世の人間の感覚がすべてナンセンスであるとすれば、本当の意味でのセンスとは何か。すべての宗教はこれについては全く沈黙しているのです。キリスト教の指導者は、人間は死んでから天国へ行くと言いますが、これもまたナンセンスです。死んでから行けるか行けないか保証がないことを、死んでから行けると当てこんでいても、全く当がないのです。

私たちは現世において現実的に命を経験している状態において、はっきり結論をつかまえておかなければ、真理とは言えないのです。私たちは生きているうちに、この手で真実をつかまえるのでなかったら、真理の勉強をするという意味がありません。

しかもその真理が、ただの想像とか、判断とか、ある推理に基づく結論とか、希望的観測に類するようなものであるとすると、それがどのように明瞭な推理であっても、確かなものとは言えないのです。

私たちは神を信じています。しかも絶対真理だという以上、真理の御霊によって捉えさせられるものは、明々白々な確証がなければならないのです。絶対的な確証がなければならないのです。

そういう意味で私たちが捉えるべきものは何であるかということです。これが夢です。夢とは何か、夢を見る原因は何でしょうか。幻を見るのは、夢に行きつく可能性があって初めて現実が幻になるのです。

終点を弁えないで、結論を捉えないで、ただ現実は幻だという言い方になりますと、これは野狐禅と同じことになります。色即是空、解脱と口先だけで言っていることになるのです。ただの観念です。観念ではない救いというのはどこにあるのか。絶対観念ではない、具体的な救いとはどこにあるのか。これが老人は夢を夢見るということです。

神の聖霊が老人は夢を夢見るであろうと言われたとすれば、ここには重大な意味があるのです。古往今来、このことを本当に考えて、夢を本当に人に与えたことがあるであろうか。夢を夢見るについて、明確に考えた人があるのかどうか。これは疑わしいのです。

夢というのは、どういうものなのか。

人間は理想という言葉を使います。目的という言葉も使います。絶対真理という言い方をします。そういう言い方をするということは、何か間違いがない目当となるべきものが、どこかにあるからです。十分に信頼ができるものであって、理想という言葉を使えるほどの完璧無類のすばらしい目標がどこかにあるに違いないことを、人間の魂が知っているから、そういう言葉使いをするのです。

これがもし人間の想像だけの産物であって、人間の概念や観念から沸いて出た空想みたいなものであるとすると、これは人間歴史六千年の間の努力が全く無駄なことになるのです。もし人間の願いが単なる希望的観測から沸いて出たものであるとすると、悲劇です。全く悲劇です。

仏教で本願という言葉を使いますが、なぜ本願と言えるのか。本願というのは間違いがないもので、願望の目的をしっかりつかまえているはずですが、それが間違いがないとはっきり言えるのでしょうか。

弥陀の浄土が果たして人間の本願に価するものかどうかです。また、法華経で言う所の人間の幸福なるものが、人間本来の本当の願いであると言えるのかどうか、そう言えるという確証がどこにあるかということです。私たちは概念を頼りにして言ってはいけないのです。はっきりした実物を、持っていなければいけないのです。

人間の理想をどうして持つことができるのであろうか。これは全知全能である神が、自らすべての肉に私の霊から注ぎ出すという形で、私たちにはっきり確認させてくれたものがあるのです。これが夢です。

このことについて、パウロは次のように述べているのです。

「これらの人々は皆、信仰をいだいて死んだ。まだ約束のものは受けていなかったが、はるかにそれを望み見て喜び、そして、地上では旅人であり寄留者であることを、自ら言い現わした。そう言い現わすことによって、彼らがふるさとを求めていることを示している。

もしその出てきた所のことを考えていたなら、帰る機会はあったであろう。しかし実際、彼らが望んでいたのは、もっと良い、天にあるふるさとであった。だから神は、彼らの神と呼ばれても、それを恥とはされなかった。事実、神は彼らのために、都を用意されていたのである」（ヘブル人の手紙11・13～16）。

古里を求めていることを示しているとあります。古里は人間の魂の理想です。古里の他に人間の魂は理想を持つことができない。持ちようがないからです。しかも古里というのは、当の本人は明々白々に、かつて経験していたことです。そこへ帰るのです。古里はかつて経験していて、本人が知っていることです。知っている場所に帰るのです。

アブラハムは神を信じたのですが、彼が信じた神が絶対に間違いがないという保証はどこにあったのか。アブラハム、イサク、ヤコブが信じた神が間違いがない神であるという保証はどこにあるのか。彼は自分自身が現世に生きていることが、旅人であり、寄留者であることを自ら言い現わしていたのです。

私が現世にいるのは寄留者なのだ。宿れる者なのだ、旅人なのだと言い現わしていたと言っているのです。これは何かと言いますと、古里へ帰る人間だということを意味するのです。旅人は古里に帰るに決まっているのです。人間の経験の中で本当に信頼できるものは、過去に一度しっかり経験してきたことなのです。これが過去完了です。

過去完了ということは、過去に一度完了したことであって、それは取り消すことができない事実です。過去完了を変更することはできません。修正することも、無視することも、絶対にできないのです。過去において完了してしまったことを、どうして修正できるのでしょうか。無視できるのでしょうか。これ以外に、人間の未来の目標となるべきものはないのです。

これは極めて簡単なことです。例えばかつて神が天地を造った、万物を造ったという事実を、私たちは否定できません。私たちは現在、造られた万物の中で生きているのです。もし万物が造られなかったら、私たちはこのように現象世界で生きていることができないはずです。そうすると私たちは、好むと好まざるとに係らず、絶対的に地球が造られたという事実を、否定することはできないのです。

かつて、無から有が造られたという事実があるのです。無から有が造られたということは、地球が無に帰るということの保証になるのです。やがて、地球が無に帰るということの絶対的な保証になるのです。

私たちは昨日という時間があったことを知っています。昨日という時間があったことは、間違いのない事実です。間違いのない事実をそのまま未来のものとして、明日があるという事実に振り替えているのではないでしょうか。昨日という日があったという過去的事実、過去完了的事実を、明日があるという未来に振り替えて考えているのです。

人間の絶対的な過去が、絶対的な未来になって現われるのです。私たちはそういうことを現世において経験しています。そういうことを経験するために、この世に生まれてきたのです。過去完了的事実というものの他に、未来的事実はないのです。過去完了的事実が、未来のものとして必ず働くのです。

例えば、男の人は男として生まれたという事実があるのです。それがその人の未来を決定しているのです。これから男として生きていかなければならないことを確証しているのです。男として生まれたという過去的事実が、男として生きていかなければならないと言う未来に振り替っていくのです。

名前をつけられたという過去完了的事実が、その人が生きている間の時間に、すべてその名前で生きていかなければならないという未来的運命を確立してしまっているのです。過去において名づけられた名前が、その人の未来の時間を限定しているのです。

かつてこの地球には、悪魔が反逆する前のすばらしい命があった。命の世界があったのです。この世界が悪魔の反逆によって、泥々にされてしまった。現在の世界は悪魔が支配する世界です。文明、政治、経済、社会は、すべて悪魔によって支配されていますが、これには全く目的がありません。ただ無目的に、文明は漂流しているのです。

漂流する船は、必ず難破します。漂流する文明はやがて滅亡します。そしてそれを支配する悪魔が自滅する。それを神がじっと待っているのです。現在の物理的地球は、造られたものです。造られたものは必ず消えていくのです。現在の物理的な地球が消えた後に、永遠に消えない、完全無欠の霊の地球が誕生します。聖書はこれを新天新地と言っています。

この世界についてヨハネは次のように述べています。

「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、人の目から涙をぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである。呪われるべきものは、もはや何一つない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕(しもべ)たちは彼を礼拝し、御顔(みかお)を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。夜は、もはやない。あかりも太陽の光も、いらない。主なる神が彼らを照らし、そして、彼らは世々限りなく支配する」（ヨハネの黙示録21・３、４、22・３～５）。

人類が望んで望んでやまなかった世界が、新天新地です。人類の理想社会、人間の夢が新天新地です。これを待ち望む事が、日の老いたる者が夢みる夢です。聖書は人類の夢が、必ず実現することを預言しているのです。

（内容は梶原和義先生の著書からの引用）