死から逃れる方法

　

　聖書に次のようにあります。

　「そして、一度だけ死ぬことと、死んだ後、裁きを受けることとが、人間に定まっているように、キリストもまた、多くの人の罪を負うために、一度だけご自身を捧げられた後、彼を待ち望んでいる人々に、罪を負うためではなしに二度目に現われて、救いを与えられるのである」（へブル人への手紙９・27、28）。

　

　肉体的に生きている人間は、一度死にます。一度だけの「だけ」という言葉はあってもなくてもいいのです。人間は一度死にます。ところが、下手をすると、二度死ぬことになるのです。

　イエスは一度死んだのです。再び死にません。イスカリオテのユダは二度死んだのです。

　ユダは首を吊って死んだ。息が切れた後、首を吊っていた縄が切れて、死体が下へ落ちて腹が裂けてはらわたが流れ出した。そこで二度目に死んだのです。これは罪人の死の譬になっているとキリスト教では言いますが、とにかく罪人は現世で一度死ぬのです。これが第一の死です。そして地獄へ行きます。これが第二の死です。

　この世を去るだけで終わればいいのですが、この世を去った後に地獄へ追いやられる。これが二度死ぬことです。「死と黄泉が死人を出して、火の池へ投げ込まれる。これが第二の死である」と書いています（ヨハネの黙示録20・12～15）。

　一度だけ死んで、神の御霊によって正しい裁きを現世で受け止めることができた人は、大変幸いです。

　福音は絶対です。私たちが生きているうちに死んでしまえば、もう死にません。つまり、十字架を受け止めて死んでしまえば、再び死なないのです。

　私が現世に生きているうちに、自分を捨ててしまいなさいとやかましくいうのは、再び死なない方法をお勧めしているのです。この点をよくご理解頂きたいのです。

　人間は誰でも自分が何とかして救われたいという気持ちを持っています。自分自身を合理化しよう、自己存在を合理化しよう、永遠に合理化しようとするのです。一度生まれてきた人間が、死ぬことなしに救われたいと考えるのです。一度死ぬことを許してもらいたいと考えるのです。一度も死なないで救われたいと考える。これがいけないのです。

　イエスでも一度死んだのです。イエスのような完全な人でも、一度死んだのです。イエスは本当に死んだのです。しかし、皆様はイエスの死に習って、イエスの十字架と一緒に自分が死んだと信じさえすればいいだけのことです。イエスのように一度息が切れなければならないのとは違うのです。

　皆様の場合、死になさいと言われても、本当に死ぬではありません。イエスと一緒に死んだと思えばいいのです。思うだけのことです。これさえもできない人はしょうがないのです。

　イエスと一緒に死んだということが皆様に思えるなら、皆様はもう死ななくなるのです。

　現世から去ることは死ぬことではありません。パラダイスに行くのです。喜びの国に入ることであって、死ぬことではないのです。これは本当のことです。ですから、喜びの国を現世で経験するのです。

　キリストの十字架によって、キリストと共に死んでいるという神の処置を皆様が受け取るなら、今生きている皆様は死んだ皆様となるのです。従って、再び死なないのです。

　御霊を受けた人なら、そのことを御霊によって教えてもらえるのです。イエス・キリストと共に死んだと信じる人は、一度死んだのですから、もう死にません。一度死ねばそれでいいのです。

　一度死ぬことと、死んで裁きを受けることは決まっています。一度死んだとは、十字架によって裁きを受けたことです。十字架を信じた者は、死んで裁きを受けたことになるのです。死んで裁きを受けたことが実現するのです。こんな結構なことはありません。現世でこれを本当に経験すれば、もう死なないのです。

　

　イエスは言っています。

　「私は甦りであり、命である。私を信じる者はたとい死んでも生きる。また、生きていて、私を信じる者は、いつまでも死なない。あなたはこれを信じるか」（ヨハネによる福音書11・25、26）。

　

　もし皆様がこれを信じるなら、このイエス・キリストの言葉を信じて受け取るなら、その言葉が皆様の命になるのです。

　「生きていて、私を信じるなら、いつまでも死なない」。この言葉を信じるなら、この言葉が皆様のものになるのです。

　皆様の死ぬベき運命が消えてしまって、イエス・キリストの運命が皆様の運命になるのです。一度死ぬベき運命、裁きを受けるべき運命が消えて、イエス・キリストの甦りの運命が、皆様の運命になるのです。

　私はいない。私は死なない。イエスが私に化けているというように、堂々と言える人になってもらいたいのです。

　人々の集まりが、イエスである人ばかりの集まりになって頂きたい。そういう理想的な神の集会を、地上で造りたいのです。

　「私は甦りである、命である」とイエスが言っています。イエスの甦りの命が、そのまま自分の命になるのです。

　従って、自分が救われたいと思うのは、肉の思いになるのです。「肉の思いは死である」とパウロが言っています（ローマ人への手紙８・６）。自分が救われたいと思うことが一番悪いのです。

　自分が幸福を求めるという気持ちを捨てるのです。自分が良くなろうという気持ちを捨てるのです。

　自分がある人は、どんな状態になっても気に入らないのです。自分を捨ててしまえば、気に入らない状態はなくなりますし、死ななくなるのです。

　皆様の心臓が動いているという事実は、自我意識には関係がありません。自分の思いに関係なく動いているのです。

　心臓だけではありません。髪の毛一本でも自分の髪の毛と言えるものはありません。もし自分の髪の毛なら、長さや本数を自分で自由に変えられるはずです。

　指一本でも自分のものではありません。自分の体も自分の命もありません。ところが、自分が死ぬ、自分が死ぬと思って、戦々恐々としている。なぜそう思うのでしょうか。

　自分がいると思っているからです。これが肉の思いです。

　自分が生きていると思う必要はありません。自分という気持ちを生かしておく必要がないのです。自分という気持ちを生かしておけば、結局不幸になるのです。死ぬに決まっているからです。自分は一度死ぬに決まっている。そして裁きを受けるのです。

　人間は皆自我意識で生きています。また、個我意識で生きています。こういう気持ちは皆肉の思いでありまして、人間の肉性から湧き出したバイキンのような思想です。メタンガスのようなもので勝手に湧いてくるのです。本当に実存しているものではありません。

　実存している人間は何かと言いますと、人間が客観的に生かされているということです。目が見えること、心臓が動いていること、自分の五体が存在していることです。これは客観的な現象であって、主観的なものとは違うのです。

　自我とか個我は、その人があると思っているだけであって、メタンガスみたいな思いです。勝手な妄想、妄念にすぎないのです。

　人間の心臓が動いている。目が見える。手が動くというのは事実であって観念ではありません。これがイエスです。

　人間の実存はイエスです。イエスがそのまま人間の実存として存在しているのです。それを固有名詞の自分として受け止めてしまうことが、人間の肉の思いです。

　一度死ぬことと、死んだ後に裁きを受けることが人間には絶対的な運命になっている。ところが、自分の実体がイエスであることを信じれば、イエスは一度死んで天に行っていますから、死なないのです。

　人間の実体がイエスであることを信じればと言いましたが、信じなくてもイエスであるに決まっています。

　人間の客観的存在は、そのまま人の子です。人間ではありません。人の子というのは神の子であって、これは一度死んで甦った人のことです。

　一度死んで甦ったお方が天にいます。私たちはこの人と同じです。私たちの命はこの中に隠されているのです。今いるのは抜け殻です。幻としているのです。私たちの本体は救われてしまっているのです。

　「生きていて私を信じる者は死ぬことがない。あなたがたはそれを信じるか」と言っている。皆様の心臓が動いているという客観的事実は、既に第三の天に行ってしまっているキリストという事実です。

　自我とか個我は、メタンガスのようなものですから、信じてはいけないのです。

　皆様が生きているという事実は客観的な事実であって、これはイエス的な本質です。これが今皆様に与えられているのです。これは最も公平で、明解な事実です。

　心臓が動いていることは、自我とか個我と何の関係もないのです。私は伊藤だ、私は加藤だと言わなくても、心臓が勝手に動いているのです。

　心臓は自分のものではありません。加藤さんのものでも伊藤さんのものでもありません。大体、この地球上に何十億の人間がいると思うのが間違っています。人間はただ一人だけです。たくさんの人間がいると思うことが間違っているのです。

　人間はイエス一人しかいません。イエス以外の人間が地球上にいるはずがないのです。

　従って、自我とか個我を持っている人間がいることがおかしいのです。自我や個我は生きていてもしょうがないのです。地獄へ行くだけです。自我は生きていても仕方がないということを、毎日、毎日考えて頂きたいのです。

　固有名詞の人間は救われるはずがない。天へ行くのはイエスだけです。救われないに決まっている人間が生きていても仕方がないのです。

　人間文明は潰れるに決まっています。人間歴史は消えるに決まっているのです。固有名詞の自分を毎日否定するのです。いるのはイエスだけです。これが分かれば救われてしまっていることが分かるのです。

　肉の思いの人間は生きていても仕方がない。邪魔になるだけです。苦しんだり、悩んだり、嘘を言ったり、悪口を言う原因になるだけです。

　自分の顕在意識だけで、私は幸せだと思おうとしているのです。これは自己自慢です。自己催眠です。自分で自分を騙しているのです。自分で自分に催眠術をかけているのです。

　だから、善悪が分からない。命が分からない。セックスの意味が分からない。結婚も分からないし、貞操も分からないのです。

　女の人は結婚しても、いつか誰かが迎えに来てくれると思っています。女性は七十歳になっても、八十歳になってもすばらしい人が迎えに来てくれると思っているのです。

　シンデレラという小説は、女性の心理状態をそのまま書いているのです。女の人は皆シンデレラです。女性が何を望んでいるかがよく分かるのです。シンデレラであることを望んでいる。いつもそう思っているのです。

　女性が望んでいることは、人間の望みを代表しているのです。人間の魂は皆、王子様のお妃になりたいと思っているのです。これは魂がイエス・キリストを望んでいることの証拠です。イエス・キリストを望んでいるのです。

　イエス・キリストの奥さんになりたい。王子様のお妃になりたい。ここまではいいのです。お妃になってから先のことが、シンデレラの小説にはないのです。

　シンデレラが王子様のお妃になった。めでたしめでたしで終わりです。ところが、人間の魂はキリストのお妃になってから仕事があるのです。キリストのお妃になるというのが、人間に定められた運命です。人間はキリストのお妃になるために生まれてきたのです。

　では何のためにお妃になるのか。新生した大宇宙を神に代わって支配するためです。失脚した大天使長ルシファーに代わって新しい大宇宙を支配するためです。

　現世でキリストのお妃になれた人は、神の恵みに従って生活しなければならない。これがお妃になってからの条件です。お妃になったが、キリストと共に苦労するのは嫌だというのはだめです。

　キリストの福音を述べ伝えようとする者は、自らの生活を自重して、キリストのお妃らしい態度を取らなければならないのです。

　シンデレラがお妃になってからの物語を、私たちが演じなければならないのです。

　私たちが御霊を受けたというのは、お妃になる手形を与えられたのであって、この手形を持っている者はやがてお妃になれるのです。手形を持っていることを本当に自覚しなければいけないのです。自覚する人は、キリストのお妃としての生活をしなければならないのです。

　イスラエルに伝道してユダヤ人を覆すこと、現在の文明を根本的に改造すること、神の国を実現すること、これが歴史の急所です。

　神の世界経綸、世界計画に協力するのです。そのために自らの生活を慎んで神の御心に生きるようにする。これがお妃になった人の態度です。

　女性が王子様に会いたいと思っているその憧れが、女性の肉体に張り付いている。そこで、女性の肉体的欲求がどういう欲求を持っているかということです。

　心理的に王子様を憧れるということは、生理的にもなければならない。心理も生理も裏表です。女性が生理的にどういう形で感極まるかということです。これが説明できなければ本当の指導者とは言えないのです。

　こういうことが分かってきますと、男女に対する見方が変わってしまいます。これが神と一つになる最高の奥義です。私たちの肉体がたちまち瞬く間に変わる所まで行かなければならないのです。

　肉体が栄光の姿に変わるのです。聖書は人間の実体の裏表を全部説明しているのです。聖書はすべて書いていますが、それを読み取らないだけのことです。

　知識においては大人になる。霊においては幼児となるのです。科学だけしか知らない人間は不完全です。これは子供です。全部分かる人間にならなければいけないのです。

　人間の心理状態の奥底には、驚くべきものが隠されている。同時に生理状態の奥底にも、キリストへの憧れが隠されているのです。だから、肉体が聖化されるのです。

　肉体は最もよく神を知っているのです。皆様の心、常識だけが神を知らないのです。

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（内容は梶原和義先生の著書からの引用）

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